Copilot の力を引き出す プロンプト のコツ|人への依頼と同じように考える

Copilot プロンプト のコツを表すイメージ

Copilot を使い始めたものの、「思っていた回答が返ってこない」「何を入力すればよいのか分からない」と感じたことはないでしょうか。 Copilot から良い回答を得るために、特別な言葉や難しいプロンプトの技術が必要なわけではありません。大切なのは、信頼する相手に大切な仕事や相談を持ちかけるときと同じように伝えることです。目的や背景、求める結果をきちんと伝えましょう。

一方で、簡単な確認をしたいだけなら、短い質問でも問題ありません。求める成果に応じて、 Copilot への伝え方も変えればよいのです。

本記事では、プロンプトの理論や定型文を覚えるのではなく、 Copilot の力を引き出すために、どのように意図や前提を伝えればよいのかを、仕事上のコミュニケーションに置き換えて考えます。

目次

Copilot の プロンプト は「特別な呪文」ではない

Copilot プロンプト は特別な呪文ではないことを表すイメージ

「プロンプト」と聞くと、 Copilot から良い回答を引き出すための、特別な命令文や専門的なテクニックを思い浮かべるかもしれません。しかし、 プロンプト はそれほど難しいものではありません。簡単にいえば、 Copilot に何をしてほしいのかを伝えるための言葉です。

Microsoft では、効果的なプロンプトの主な要素として、次の4つを挙げています。

目標Copilot に何をしてほしいのか
コンテキストなぜ必要なのか、誰が使うのか
ソースどの情報を参照してほしいのか
期待どのような内容や形式で回答してほしいのか

一見すると少し難しく感じるかもしれませんが、人に仕事を依頼する場面へ置き換えると分かりやすくなります。

例えば、同僚に「この資料を作ってください」とだけ伝えるよりも、「来週のお客様との打ち合わせで使うため、添付した調査結果を基に、初めて読む人にも分かる5枚程度の資料を作ってください」と伝えた方が、目的に合った成果物を受け取りやすくなります。

Copilotも同じです。特別な言葉を覚えることより、何のために、何を使い、どのような結果が欲しいのかを伝えることが重要です。

もちろん、毎回4つの要素をすべて書く必要はありません。簡単な質問であれば、短いプロンプトでも十分です。大切なのは、決まった型を機械的に使うことではなく、Copilotが作業を進めるために必要な情報が伝わっているかを考えることです。

Microsoft では、プロンプトの基本や具体例を学べる公式コンテンツも公開しています。基本を体系的に確認したい場合は、次のページも参考になります。

最適な結果を達成するための効果的なプロンプトを記述する
Microsoft 365 Copilotでプロンプトの作成を開始する
Microsoft 365 Copilotで効果的なプロンプトを作成する

本記事では、こうした基本を詳しく説明するのではなく、仕事で実際にCopilotを使うとき、どの程度まで丁寧に伝えればよいのかを考えていきます。

求める成果に合わせて、 Copilot への伝え方を変える

目的に合わせて Copilot プロンプト を変えるイメージ

Copilot へのプロンプトは、いつでも長く、細かく書けばよいわけではありません。求める成果に合わせて、伝える情報量を変えることが大切です。

例えば、言葉の意味を確認したい、文章を少し短くしたい、アイデアをいくつか出してほしい、といった場面では、短い質問でも十分です。

この文章を3行にまとめてください。

「生成AI」と「従来型AI」の違いを簡単に教えてください。

一方、お客様へ提出する資料や、重要な社内提案を作成する場合はどうでしょうか。

そのような仕事を、信頼する相手へ依頼する場面を考えてみてください。「いい感じに作ってください」だけでは済ませないはずです。何のために作るのか。誰が読むのか。何を参考にするのか。どのような結果を期待するのか。相手が判断できるように、必要な情報を具体的に伝えるのではないでしょうか。

例えば、次の プロンプト では、 Copilot が判断するための情報がほとんどありません。

Copilotの説明資料を作ってください。

次のように伝えると、目的に合った回答を作りやすくなります。

Microsoft 365 Copilotを初めて利用する社員向けに、基本的な特徴を説明する資料の構成案を作成してください。
資料の目的は、社員にCopilotへの関心を持ってもらい、日常業務で試してもらうことです。
専門用語はなるべく避け、メール作成、会議の要約、文書作成など、身近な業務例を含めてください。
全体は5枚程度を想定しています。
まずは各ページのタイトルと、伝える内容を整理してください。

大切なのは、長いプロンプトを書くことではありません。Copilotが仕事を進めるために必要な情報を伝えることです。

簡単な答えが欲しいときは、簡単に質問する。重要な成果が欲しいときは、重要な仕事を人に依頼するときのように、背景や目的、求める結果まで伝える。

Copilotを使うたびに、完璧なプロンプトを作る必要はありません。まずは、これから頼もうとしている仕事に対して、自分はどの程度の成果を求めているのかを考えてみてください。求める成果が明確になれば、Copilotへどこまで伝えるべきかも自然に見えてきます。

「ここまで言わなくても分かるだろう」を手放す

Copilot プロンプト で具体的に伝えるイメージ

人に仕事を依頼するとき、相手との関係が長かったり、業務の背景を共有していたりすると、細かな説明を省いても意図を理解してもらえることがあります。

しかし、Copilotが自社の事情やお客様との関係、社内で当たり前になっている前提まで、すべて理解しているとは限りません。

例えば、Copilotへ次のように依頼したとします。

お客様向けに、丁寧なメールへ修正してください。

この依頼だけでも文章は丁寧になりますが、Copilotには次のような情報が伝わっていません。

  • 新規のお客様か、日頃からやり取りしているお客様か
  • お願い、確認、報告、謝罪のうち、何を目的としたメールか
  • 相手に急いで対応してほしいのか、余裕のあるときに確認してほしいのか
  • かしこまった表現がよいのか、少し柔らかい表現がよいのか
  • 今回のメールで、相手にどのような行動をしてほしいのか

次のように前提を加えると、求める文章に近づきやすくなります。

日頃から月1回程度やり取りしている、既存のお客様へ送るメールです。
今回は回答を催促するのではなく、以前ご相談した内容の検討状況を確認することが目的です。
相手を急かしている印象を与えないように、堅くなりすぎない丁寧な文章へ修正してください。

「お客様向けに丁寧に」という依頼が間違っているわけではありません。簡単な修正であれば、それだけでも十分な場合があります。

一方で、文章の受け取られ方や相手との関係まで大切にしたい場合は、誰に、何のために、どのように受け取ってほしいのかを伝える必要があります。

ここで大切なのは、Copilotのためだけに細かな説明を増やすことではありません。自分の中にある意図や判断基準を、必要な範囲で言葉にすることです。

「ここまで言わなくても分かるだろう」と省略していた前提を、言葉にしてみましょう。そうすることで、自分が何を求めているのかも整理できます。この考え方は、Copilotへのプロンプトだけのものではありません。人へ仕事を依頼するときのコミュニケーションにも通じます。

期待していた回答が得られなかったときは、まず、Copilotが判断するために必要な前提を、自分が伝えていたかを振り返ってみてください。

一度で正解を出させず、対話しながら成果へ近づける

Copilot と対話しながら回答を改善するイメージ

Copilotへ丁寧にプロンプトを入力しても、最初から期待どおりの回答が返ってくるとは限りません。

しかし、一度目の回答が期待と違ったからといって、すぐに「Copilotは使えない」と判断する必要はありません。最初の回答は、たたき台として使えます。良い部分を残しながら、直したい部分を具体的に伝えましょう。そうすることで、成果を少しずつ目的へ近づけられます。

これは、人と一緒に仕事を進めるときにも似ています。作成してもらった資料を見て、

  • 全体の方向性はよい
  • この部分は残したい
  • もう少し簡潔にしたい
  • 読む人に合わせて表現を変えたい
  • この点は事実確認が必要

とフィードバックしながら完成度を高めることがあります。Copilotに対しても、同じように具体的なフィードバックを返すことが大切です。

例えば、提案された文章がおおむね良いものの、少し詳しすぎた場合は、次のように伝えられます。

全体の方向性はよいです。
特に、目的と対象読者の説明は残してください。
一方、機能の詳しい説明は今回の記事では扱わないため、削除してください。
文章量を現在の7割程度にして、初めてCopilotを使う人にも読みやすい表現へ調整してください。

単に「書き直してください」と伝えるより、何が良く、どこを、なぜ変えたいのかを伝えた方が、求める結果に近づきやすくなります。

また、細かな修正を何度繰り返しても期待する方向へ進まない場合は、文章の一部ではなく、前提そのものが十分に伝わっていない可能性があります。

その場合は、次のように目的から伝え直します。

いったん、文章の細かな修正を止めます。
この記事の目的は、プロンプトの知識を網羅的に説明することではありません。
Copilotを使い始めた人に、「特別な技術がなくても、仕事を依頼するように伝えればよい」と理解してもらうことが目的です。
この目的を基に、構成から見直してください。

少し違うと感じるたびに、すべてを最初からやり直す必要はありません。まずは良い部分と直したい部分を分けて伝える。それでも方向が合わなければ、目的や対象読者などの前提へ戻る。このように対話を重ねることで、Copilotの回答を求める成果へ近づけられます。

大切なのは、完璧なプロンプトを一度で書くことではありません。Copilotから出てきた回答を見て、自分の考えを整理し、それをもう一度言葉にして返すことです。

Copilotを使いこなすとは、正解を一度で出させることではなく、対話を通じて成果を一緒に磨いていくことなのです。

Copilot の回答を、そのまま完成品や判断の根拠にしない

Copilotの 回答を確認して活用するイメージ

Copilotとの対話を重ね、期待に近い回答が得られたとしても、それをそのまま完成品として使用するのは避けた方がよいでしょう。

Copilotは、文章の作成や情報整理、アイデア出しを効率化してくれます。一方で、事実と異なる内容、古い情報、前提に合わない提案が含まれることもあります。文章として自然で説得力があるからといって、内容まで正しいとは限りません。

Copilotが作成した文章や資料は、まず利用者自身が確認する必要があります。特に、次のような内容は注意して確認します。

  • 数値や日付に誤りがないか
  • 出典や根拠を確認できるか
  • 自社の規程や契約内容と矛盾していないか
  • お客様との関係や業務の実態に合っているか
  • 本来伝えるべき内容が抜けていないか
  • 読む人に誤解を与える表現になっていないか

さらに、作成したものをCopilotへもう一度渡し、レビューさせる方法も有効です。Copilotは自分が作成した文章であっても、確認する観点を与えれば、改善点や不足している情報を指摘してくれます。

この文章を、次の観点でレビューしてください。
・事実関係に確認が必要な箇所
・前後で矛盾している箇所
・初めて読む人に分かりにくい箇所
・誤解を与える可能性のある表現
・不足している情報
文章をすぐに修正するのではなく、まずは問題点と修正すべき理由を整理してください。

先に問題点だけを挙げてもらうことで、Copilotの修正案をそのまま受け入れるのではなく、どこを直すべきかを人が判断できます。

ただし、Copilotにレビューさせたから、内容の正しさが保証されたわけではありません。作成時の前提が誤っている場合もあります。その前提を引き継いだレビューでは、誤りを見逃す可能性があります。Copilotによるレビューは、品質を高めるための追加確認として使い、重要な内容は人が確認します。

もう一つ、業務で特に気を付けたいのが、「Copilotがそう回答した」という理由だけで、何かを判断しないことです。

例えば、次のような説明は、業務上の根拠として十分ではありません。

Copilotに確認したところ、この方法で実現できるとのことでした。

その回答は、入力したプロンプト、与えた前提、参照できた情報によって変わります。また、利用者の意図とは異なる前提で回答している可能性もあります。

回答をきっかけに調査を始めたり、選択肢を広げたりすることには大きな価値があります。しかし、最終的な判断には、内容に応じた根拠が必要です。

例えば、次のような情報です。

  • Microsoftなど提供元の公式ドキュメント
  • 契約書や仕様書
  • 自社の規程や手順書
  • システムから取得した実データ
  • 実環境で行った検証結果
  • 担当部門や責任者への確認結果

大切なのは、Copilotを使ったことを隠すことではありません。Copilotを使って、調査や作成を効率よく進めることは問題ありません。ただし、最終的な成果物や判断には、人が責任を持つ必要があります。

文章や資料の作成、情報の整理、改善、レビューなど、Copilotは幅広い作業を支えてくれます。一方、その回答自体が、業務上の根拠になるわけではありません。

Copilotで作成し、人とCopilotで見直し、重要な事実は信頼できる情報で確認する。
この流れまで含めて、Copilotを使いこなすことが大切です。

Copilotへの伝え方に慣れてきたら、次はチャットの使い方も工夫してみましょう。
「Copilotチャットの使い方|テーマ分け・並行作業・引き継ぎのコツ」では、チャットを仕事のテーマごとに整理し、複数の仕事を並行して進める方法や、新しいチャットへ経緯を引き継ぐ方法を紹介しています。