Copilot Studioの設計はどう考える?Knowledge・Tool・Agentの違いと選び方

Copilot Studioの設計を考え始めると、Knowledge、Tool、Topic、Instructionsなど、さまざまな言葉が登場します。それぞれの機能を調べても、実際の業務で何を選び、どう組み合わせればよいのか、分かりにくいと感じることがあります。
しかし、最初からすべての機能を理解する必要はありません。まずは、利用者がエージェントを使って「情報を知りたい」のか、「登録や通知を実行したい」のか、それとも「複数の仕事をまとめて任せたい」のかを考えます。任せたい仕事を分けると、Knowledge、Tool、Topic、Agentの役割も見えやすくなります。
この記事では、Copilot Studioの主要な言葉を仕事の役割に置き換えながら、社内FAQ、申請・受付、ヘルプデスク、複数ステップの業務支援を例に、必要な構成の選び方を整理します。
Copilot Studioの概要や基本的な機能から確認したい方は、先に「Copilot Studioとは?|使い方・ナレッジ検索・自律型AIエージェント活用事例をわかりやすく解説」をご覧ください。
目次
Copilot Studioの設計は、機能名から考えると分かりにくい
Knowledge・Tool・Topic・Agentを仕事の役割で理解する
「知りたい・実行したい・任せたい」から必要な構成を選ぶ
最初からすべてを使わず、小さな業務から作る
Copilot Studioの設計は、機能名から考えると分かりにくい

Knowledge、Tool、Topic、Instructionsには、それぞれ異なる役割があります。しかし、一つずつ調べても、実際の業務でどう組み合わせるかまでは見えにくいことがあります。さらに、Power Automateや生成オーケストレーションなども関係するため、機能名から考えるだけでは全体像をつかみにくくなります。
たとえば、社内規程について回答するエージェントを作る場合は、規程を参照するKnowledgeが必要です。しかし、規程を探して回答するだけでなく、申請の受付まで行う場合は、必要な情報を聞き取るTopicや、申請を登録するToolも必要になります。
このように、必要な機能は作りたいエージェントの種類だけでは決まりません。利用者が何をしたいのか、エージェントへどこまで任せるのかによって変わります。
そのため、最初から機能を選ぶのではなく、まず次のように利用者の目的を整理します。
- 必要な情報を調べて回答してほしい
- 利用者から必要事項を聞き取ってほしい
- データの取得や登録、通知を行ってほしい
- 複数の作業を組み合わせて進めてほしい
目的が分かれば、Knowledgeを中心にするのか、Toolを加えるのか、決められた流れをTopicで固定するのかを考えやすくなります。
すべての機能を最初から使う必要はありません。まず任せたい仕事を小さく決め、その仕事に必要な機能を組み合わせることが、Copilot Studioの設計を考える第一歩です。
Knowledge・Tool・Topic・Agentを仕事の役割で理解する

Copilot Studioでは、複数の技術要素を組み合わせてエージェントを作ります。それぞれを仕事上の役割に置き換えると、違いが見えやすくなります。
| 技術要素 | 一言で表すと | 主な役割 |
|---|---|---|
| Instructions | 仕事の指示 | エージェントの役割や判断方針を伝える |
| Knowledge | 調べる情報 | 規程、マニュアル、FAQなどから回答を探す |
| Tool | 仕事の道具 | 情報の取得、登録、更新、通知などを行う |
| Topic | 決められた進め方 | 必須の質問、順序、分岐、確認を固定する |
| 生成オーケストレーション | 進め方を考える仕組み | 依頼に応じてKnowledgeやToolなどを選ぶ |
| Agent | 仕事を担当する仕組み | 必要な要素を組み合わせて仕事を進める |
| Power Automate | Toolを作る方法の一つ | 登録、通知、承認などの処理を実行する |
それぞれの役割を、もう少しだけ補足します。
- Instructions
エージェントへ「何を担当し、どのように判断するか」を伝えます。回答の対象や守るべきルールなど、仕事の基本方針を決めるものです。 - Knowledge
エージェントが回答するときに調べる情報です。SharePointの規程、マニュアル、FAQ、Webサイトなどを回答の根拠として利用します。 - Tool
情報の取得や登録、更新、通知などを行います。Knowledgeが「調べる情報」なら、Toolは「実際に仕事をする手段」です。 - Topic
必須項目の聞き取りや確認など、会話や処理を決めた流れに沿って進めます。順序や条件を固定したい仕事では、引き続き重要です。 - 生成オーケストレーション
利用者の依頼をもとに、必要なKnowledge、Tool、Topicなどを選び、進め方を組み立てます。Microsoftは、利用者の意図を解釈し、複雑な依頼を分解して、必要な要素を組み合わせる仕組みとして説明しています。 - Agent
Instructionsに従い、KnowledgeやToolなどを使って仕事を進める全体の仕組みです。KnowledgeやToolと横並びの一機能というより、それらを組み合わせる仕事の担当者と考えると分かりやすくなります。 - Power Automate
Toolの処理を実現する方法の一つです。たとえば、SharePointへの登録、Teamsへの通知、承認依頼などをクラウドフローで実行できます。

上の図は、Copilot Studioの技術要素を、仕事の担当者と道具に置き換えた筆者なりのイメージです。厳密な製品構成や処理順序ではありませんが、Agentを仕事の担当者、Knowledgeを調べる情報、Toolを仕事の道具として考えると、それぞれの関係を理解しやすくなります。
まずは自分なりのイメージを持ち、実際に作りながら正式な役割や使い方を確認していくことが大切です。ただし、これらの要素から一つだけを選ぶわけではありません。任せたい仕事に合わせて、必要な要素を組み合わせます。
たとえば、社内規程について回答するなら、InstructionsとKnowledgeを中心にします。申請受付まで行うなら、必要事項を確認するTopicや、申請を登録するToolを加えます。
また、生成オーケストレーションがあっても、すべてをAIへ任せる必要はありません。柔軟に判断してよい部分はAIへ任せ、必須項目、確認、承認などはTopicや処理側で固定します。
Copilot Studioの設計では、AIへ任せる部分と、あらかじめ進め方を決める部分を分けることが重要です。
詳しい機能や設定方法は、Microsoft Copilot Studio公式ドキュメントで確認できます。エージェントの作成、KnowledgeやToolの追加、評価、公開、監視などの情報がまとめられています。
「知りたい・実行したい・任せたい」から必要な構成を選ぶ

Copilot Studioの設計では、機能から考えるのではなく、利用者が何をしたいのかを先に整理します。
大きく分けると、「知りたい」「実行したい」「任せたい」の3つです。
| 利用者の目的 | 業務の例 | 中心となる構成 |
|---|---|---|
| 知りたい | 社内規程やマニュアルを調べる | Instructions+Knowledge |
| 実行したい | 申請、登録、更新、通知を行う | Tool+必要に応じてTopic |
| 任せたい | 調査から登録、通知までまとめて進める | Instructions+KnowledgeやToolなど |
- 知りたい
社内規程、マニュアル、FAQなどから情報を探して回答する場合は、Knowledgeを中心にします。Instructionsには、回答する範囲や、情報が見つからない場合の対応を記載します。 - 実行したい
申請、登録、更新、通知まで行う場合は、Toolを加えます。必ず確認する項目や順序がある場合はTopicで流れを決め、その後の処理をToolで実行します。Power Automateは、そのToolを実現する方法の一つです。 - 任せたい
利用者の依頼を確認し、必要な情報を調べ、登録や通知まで進める場合は、複数の要素を組み合わせます。たとえばヘルプデスクでは、Knowledgeから対応方法を探し、解決しなければToolで問い合わせを登録する、といった流れが考えられます。
この3つは、エージェントの種類を厳密に分けるものではありません。実際には、「知りたい」に登録処理を加えたり、「任せたい」の一部をTopicで固定したりします。
また、「任せたい」から始める必要もありません。まずは情報を探して回答する範囲から試し、必要に応じて登録や通知を追加すると、構成や運用上の課題を確認しながら広げられます。
重要なのは、どこまでを回答で終え、どこから処理を行い、どの場面で人が確認するかを決めることです。特に登録、外部送信、承認などでは、必要に応じて実行前の確認を残します。
次の章では、最初からすべての機能を使わず、小さな業務から作り始める考え方を整理します。
最初からすべてを使わず、小さな業務から作る

Copilot Studioでは、Knowledge、Tool、Topicなどを組み合わせて、さまざまな業務を支援できます。しかし、最初からすべての機能を使う必要はありません。
まずは、対象とする業務と、エージェントへ任せる範囲を小さく決めます。
- 情報を探して回答する
InstructionsとKnowledgeを中心に、必要な情報を見つけて回答できるかを確認します。 - 決められた流れで受け付ける
必須項目や確認が必要な部分にTopicを使い、会話を安定させます。 - 登録や通知まで行う
Toolを追加し、必要に応じてPower Automateなどで処理を実行します。 - 複数の仕事をまとめて任せる
KnowledgeやToolを組み合わせ、生成オーケストレーションによって進める範囲を広げます。
小さく始めると、回答の精度だけでなく、参照する情報、必要な権限、処理の失敗、人による確認、運用負荷なども確認しやすくなります。期待した結果が得られなければ、Instructionsを見直す、Knowledgeを整える、Topicで流れを固定するなど、改善する場所も判断できます。
Copilot Studioには、異なるハーネスや複数のエージェントを連携させる構成もあります。ただし、最初から複雑な構成を選ぶ必要はありません。小さく試して不足する点が明確になった段階で、より適した構成を検討します。
Copilot Studioの設計で最初に決めるのは、誰のどの仕事を、どこまでエージェントへ任せるかです。Knowledge、Tool、Topicなどは、その仕事を実現するための手段です。
小さな業務から作り、利用結果を確認しながら必要な機能を加えることで、自社の業務に合ったエージェントへ育てやすくなります。

