Copilot活用では業務データをどう見る?今ある情報から進め方を判断する

業務データからCopilot活用の進め方を判断するイメージ

Copilot活用を考えるとき、つい「何をさせるか」から考えたくなります。しかし、あわせて確認したいのが、現在の業務がどのような情報で動いているかです。

情報が残っていても、内容が古かったり、判断理由が記録されていなかったりすれば、目的によっては使えません。反対に、今は不足していても、無理なく集められるなら、記録と検証を並行できます。

大切なのは、データの有無だけで判断しないことです。今あるデータを使えるのか、不足するデータを集められるのかを確認し、早く試す、集めながら試す、用途を限定する、いったん見送るといった進め方を選びます。

この記事では、業務データの見方と、データの状態に合わせたCopilotやAIエージェントの役割・進め方を考えます。ここでの考え方は、Microsoft 365 Copilotだけでなく、Copilot Studioで作成したAIエージェントや、Copilot Coworkを業務へ取り入れる場合にも共通します。

目次

業務の中にあるデータと、関わる人を確認する

業務にあるデータと関わる人を確認するイメージ

業務データというと、Excelの一覧表や業務システムに登録された情報を想像するかもしれません。しかし、実際の業務では、それ以外にも多くの情報が使われています。

例えば、業務の入口では、メール、申請書、問い合わせ、画像などを受け取ります。作業の途中では、規程や過去の履歴を参照し、判断結果や修正内容を記録します。最後には、回答文、報告書、登録データなどを成果として残します。

対象業務の中で扱っている情報を、次のように整理します。

業務の場面確認する情報の例
業務の入口メール、申請書、問い合わせ、帳票、画像
作業の途中規程、過去履歴、顧客情報、判断結果、修正内容
業務の成果回答文、報告書、登録データ、通知、承認記録

あわせて、その情報に誰が関わっているかも確認します。入力する人、内容を確認する人、更新する人、業務で利用する人が異なる場合もあります。

現在は正しい情報でも、更新する人が決まっていなければ、時間とともに古くなります。反対に、更新方法や担当者が明確であれば、今あるデータを早い段階から活用できます。

ここで大切なのは、Copilotへ何を読み込ませるかだけを考えないことです。現在の業務が、どのような情報と人によって動いているかを確認します。その全体像が、Copilotで活用できるデータを見つける出発点になります。

業務データが、目的に使える状態かを見極める

業務データが目的に使える状態か確認するイメージ

業務データが存在していても、Copilotでそのまま活用できるとは限りません。大切なのは、データの量ではなく、実現したい目的に使える状態かを確認することです。

例えば、過去の問い合わせ履歴があっても、回答内容が古かったり、対応結果が残っていなかったりすれば、そのまま回答へ利用するのは難しくなります。一方、よくある質問を探す、問い合わせを分類するなど、用途を限定すれば活用できる可能性があります。

確認する観点は、次のとおりです。

確認すること確認内容の例
必要な情報があるか回答、判断、処理に必要な情報が含まれているか
内容を信頼できるか情報が正確で、最新版を見分けられるか
目的に合っているか検索、要約、分類、判断支援などに利用できるか
継続して使えるか更新する人や方法が決まっているか

同じデータでも、情報を探すために使うのか、回答案を作るのか、判断まで任せるのかによって、求められる状態は変わります。

Microsoftも、組織のデータが適切に管理され、最新の状態で、必要な人へ適切に共有されていることが、Copilotから正確で関連性の高い回答を得るための基盤になると説明しています。詳しくは、Microsoft Learnの「Microsoft Copilot向けに安全で管理されたデータ基盤を構成する(英語)」をご覧ください。

「使える・使えない」と一律に決めず、何に使えるかを見極めます。目的に対して不足がある場合は、次の章で、すぐ試すのか、データを集めるのか、用途を限定するのかを考えます。

データの状態から、Copilot活用の進め方を分ける

データの状態からCopilot活用の進め方を判断するイメージ

業務データを確認したら、CopilotやAIエージェントの進め方を、現在の状態に合わせて選びます。データがあれば進められる、なければ進められない、という単純な判断ではありません。

  • 今あるデータで早く試す
    目的に使えるデータがそろっているなら、完璧な状態を待ち続ける必要はありません。対象業務を絞って試し、実際の効果や不足を確認します。
  • 使える用途に絞って試す
    データはあっても、回答や判断まで任せるには足りない場合があります。その場合も、検索、要約、分類、下書き作成などに用途を限定すれば、活用できる可能性があります。
  • 必要なデータを集めながら試す
    現在はデータがなくても、業務の中で無理なく記録できるなら、収集と検証を並行できます。次の判断に必要な情報を選び、小さな範囲で試します。
  • 役割を変える、またはいったん見送る
    必要なデータを用意できる見込みがない場合は、作り続けるのではなく、CopilotやAIエージェントの役割を変える、業務を先に整える、いったん見送るといった判断も必要です。

大切なのは、情報不足を理由に何もしないことでも、不足を無視して進めることでもありません。今ある情報でどこまでできるかを見極め、現実的な進め方を選びます。

不足するデータと、Copilotの役割を見直す

不足するデータとCopilotの役割を見直すイメージ

不足が見つかった場合も、何でも記録すればよいわけではありません。まず、次に何を判断したいのかを決め、その判断に必要なデータだけを残します。

  • 作業時間:開始時刻、完了時刻、確認にかかった時間
  • 人の負担:修正回数、例外件数、人への引き継ぎ件数
  • 利用者の解決状況:解決・未解決、再問い合わせ
  • 回答品質:未回答、誤回答、修正理由
  • 運用負荷:情報更新や問い合わせ対応にかかった時間

必要な情報が十分に集まるまで、CopilotやAIエージェントの活用を止める必要はありません。今あるデータで対応できる範囲に合わせて、CopilotやAIエージェントに任せる役割を調整します。

例えば、回答や判断まで任せることが難しければ、検索、要約、分類、下書き作成に用途を限定できます。不足する情報を示したり、判断が必要な案件を人へ引き継いだりする役割も考えられます。

大切なのは、作りたい仕組みにデータを無理に合わせないことです。業務の目的と利用できるデータに合わせて、CopilotやAIエージェントに任せる範囲と、人に残す判断を決めます。

業務データからCopilot活用を判断するチェックリスト

業務データからCopilot活用を判断するチェックリストのイメージ

対象業務について、確認できた項目にチェックを付けます。すべてを埋めてから始める必要はありません。チェックできない項目は、次に確認することとして残します。

確認項目具体的に整理する内容確認
業務で扱う情報を確認した入口で受け取る情報、途中で参照・記録する情報、最後に残す成果物□
データに関わる人を確認した入力、確認、更新、利用を誰が担っているか□
Copilot・AIエージェントの利用目的を決めた検索、要約、分類、下書き、判断支援など、何に使いたいか□
現在のデータが目的に使えるか確認した必要な情報、正確さ、最新性、更新方法が十分か□
不足するデータを集められるか確認した収集方法、期間、利用者の負担、管理する担当者□
データに合わせてCopilot・AIエージェントの役割を調整したCopilotやAIエージェントに任せる処理、人が判断する部分、対象外とする範囲□
次の進め方を決めた早く試す、集めながら試す、用途を限定する、用途を変える、見送る□

チェックの数だけで、CopilotやAIエージェントを活用できるか判断するものではありません。

重要なのは、現在使えるデータと不足しているデータを分け、次にどのような行動を取るか決めることです。

使えるデータがあれば、対象を絞って早く試します。不足する情報を無理なく集められるなら、記録と検証を並行します。必要なデータを用意できない場合は、CopilotやAIエージェントの役割を変える、またはいったん見送ることも検討します。