Power Automate × AI Builder 活用事例 | ノーコード で業務自動化・感情分析・テキスト抽出

Power Automte + AI  Builder 画像
 

Power Automate と AI Builder を組み合わせることで、 ノーコード で業務の自動化が可能になります。
画像やPDFからの 情報抽出 、 アンケート や 問い合わせ の 感情分析 、 予測モデル の活用など、 AI を活用した業務改善が現実のものとなっています。
本記事では、 AI Builder の使い方や業務への具体的な活用事例を紹介し、導入のヒントを提供します。

 

目次

AI Builder とは?
 基本機能と特徴
 導入メリット
 利用に必要なライセンスと前提条件
Power Automate × AI Builder の連携でできること
 画像・PDFからの情報抽出 ( OCR + AI )
 感情分析による顧客対応の質向上
 予測モデルによる意思決定支援
 自社データによるAIモデルのチューニング
テキスト抽出
感情分析
よくある質問(FAQ)
AI活用サポートサービス紹介

AI Builder とは?

AI Builder は、 Microsoft Power Platform の一部であり、 Power Automate や Power Apps 上で AI 機能をノーコードで活用できるツールです。 

画像認識、テキスト抽出、感情分析、予測モデルなど、業務に役立つAIモデルを簡単に構築・利用できます。

従来は専門的な知識が必要だったAI活用が、直感的な操作で実現できるため、現場レベルでの業務改善に大きな効果を発揮します。主な特徴としては、下記があります。

– ノーコードでAIモデルを構築・利用可能

– 業務に直結するモデルが豊富(画像認識、感情分析など)

– 自社データでAIをチューニング可能

AI Builder を活用することで、業務の自動化だけでなく、情報の「意味」や「感情」まで分析できるようになります。次のURLで詳細を確認することができます。

https://learn.microsoft.com/ja-jp/ai-builder/overview

AI Builder イメージ

基本機能と特徴

Power Platform の AI 機能は、専門知識がなくても業務に役立つモデルを簡単に利用できます。
主な機能は以下の通りです:

  • 画像認識・テキスト抽出:請求書や契約書から情報を自動抽出
  • 感情分析:アンケートや問い合わせ内容のポジティブ・ネガティブ判定
  • 予測モデル:売上や在庫の傾向を予測し、意思決定を支援

これらはすべてノーコードで構築でき、 Power Automate や Power Apps と連携可能です。

導入メリット

この AI 機能を導入することで、以下の効果が期待できます:

  • 業務効率化:手作業の入力や分類を自動化
  • コスト削減:外部システムや専門開発の必要がない
  • 現場での即時活用:IT部門に依存せず、担当者が自ら改善できる

利用に必要なライセンスと前提条件

この AI 機能を使うには、 Power Platform 環境( Dataverse 利用)が前提です。
主な必要ライセンスは以下の通りです:

  • Power Automate Premium : AI Builder 機能を含み、毎月クレジット付与
  • Power Apps Premium:アプリ単位またはユーザー単位で利用可能

そのほか、Power Automate Processライセンスでも利用することができます。大量利用時は AI Builder 容量アドオンで追加購入が可能です。

Power Automate × AI Builder の連携でできること

Power Automate と AI Builder を組み合わせることで、日常業務の自動化だけでなく、AIによる高度なデータ処理や分析が可能になります。ノーコードで構築できるため、現場の担当者でも手軽に導入・運用できるのが大きな特徴です。

画像・PDFからの情報抽出 ( OCR + AI )

AI Builder の「フォーム処理」や「ドキュメント処理」モデルを使えば、請求書・伝票・契約書などの画像やPDFから、必要な情報を自動抽出できます。Power Automate のフローに組み込むことで、アップロードと同時にデータ化が完了します。

活用例:

  • 経理部門での請求書処理の自動化
  • 在庫管理の伝票入力の省力化

感情分析による顧客対応の質向上

 アンケートや問い合わせ内容を AI Builder で感情分析することで、顧客の満足度や不満の傾向を可視化できます。Power Automate を使えば、Teamsやメールに自動通知することも可能です。
活用例:

  • カスタマーサポートの改善
  • 商品レビューの傾向分析

予測モデルによる意思決定支援

AI Builder の予測モデルを使えば、売上予測や在庫不足の予測など、業務データをもとに将来の傾向を予測できます。Power Automate で定期的に予測を実行し、結果をレポート化することも可能です。

活用例:

  • 販売計画の最適化
  • 人員配置の予測

自社データによるAIモデルのチューニング

AI Builder は、自社の業務データを使ってモデルをトレーニングすることができます。これにより、業務に最適化されたAIモデルを構築でき、精度の高い自動化が実現します。

活用例:

  • 社内用語に対応したテキスト抽出
  • 特定業務に特化した分類モデルの構築

このように、 Power Automate と AI Builder の連携は、単なる自動化にとどまらず、業務の質とスピードを同時に向上させる強力な手段です。

テキスト抽出

今回作成するフローはこちらです。
フロー実行時に、ユーザが画像やPDFドキュメントをアップロードすることで
Power Automate が自動的にドキュメントのデータを認識し、テキストを作成します。

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①フロー作成
 Power Automate を起動し、「作成」から「インスタントクラウドフロー」を選択します。
 フローのトリガーには 「フローを手動でトリガーする」を選択します。
 最後に「作成」をクリックします。

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②ファイルコンテンツの設定
 「手動でフローをトリガーします」アクションをクリックし、「入力の追加」から「ファイルコンテンツ」を追加します。

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③アクションの設定
 「画像やPDFドキュメントのテキストを認識する」アクションを追加します。
 「画像」には「手動でフローをトリガーします」アクションで設定した「ファイルコンテンツ」を設定します。

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以上で設定は完了です。
このように、とても簡単にフローを構築することが可能です。

テキスト抽出

テキスト抽出は、画像やドキュメントから情報を自動で抽出する技術です。
近年では、AIやOCR(光学文字認識)などの技術の進歩により、紙の書類やスキャン画像、PDFファイルなどから高精度に文字情報を取り出すことが可能となりました。
これにより、手作業での入力作業を大幅に削減し、業務効率の向上やデータの有効活用が期待されています。

画像からのテキスト抽出

画像からのテキスト抽出は、写真やスキャン画像などに含まれる文字情報を識別し、抽出する技術です。
例えば、下記のような画像からテキスト抽出が可能です。

実際に Power Automate を実行し、画像から情報を抽出した結果はこちらです。
画像内のテキストをすべて取得することができました。

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また、「GPT でプロンプトを使用してテキストを作成する」アクションを使用して、「住所」、「電話番号」等の特定の情報を取得することもできます。
(今回は本アクションの詳細は省略します。)

ドキュメントからのテキスト抽出

ドキュメントからのテキスト抽出は、PDFやWord、スキャンした書類などの文書ファイルから情報を自動で抽出する技術です。
例えば、下記のようなPDFファイル(資格手当一覧表)をアップロードし、情報を抽出してみます。

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実際に Power Automate を実行し、PDFファイルから情報を抽出した結果はこちらです。
ドキュメント内のテキストをすべて取得することができました。

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また、「GPT でプロンプトを使用してテキストを作成する」アクションを使用して、「応用情報技術者」の資格手当を取得することもできます。
(今回は本アクションの詳細は省略します。)

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いかがでしょうか。
これらの処理を Power Automate のフローに組み込むことで、ファイルをアップロードするだけで自動処理が完結します。

感情分析

感情分析 とは、テキストデータから感情や意見、態度を自動的に識別し、分類する技術のことです。
これは自然言語処理の一分野であり、特にソーシャルメディア、レビューサイト、カスタマーサポートのチャットログなど、膨大な量のテキストデータを扱う場面で広く利用されています。

感情分析の主な目的
 感情の分類: テキストがポジティブ、ネガティブ、ニュートラルのどれに該当するかを判断します。
 特定の感情の識別: 喜び、怒り、悲しみ、驚きなど、特定の感情を識別します。

「テキスト内の肯定的または否定的な感情を分析する」アクションを使用して実際に Power Automate を実行した結果はこちらです。
下記結果より、テキスト「ありがとうございます。とても感謝しています。」は、内容が肯定的だということが分かります。

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感情分析の活用事例

AIによる感情分析は、ユーザーの声や反応を深く理解し、マーケティングやサービス改善に役立てる強力な手段です。
実際に感情分析が活用されている具体的な事例には以下のようなものがあります。


①SNS分析によるブランド戦略
 SNS上で言及された自社ブランドへのコメントを感情分析し、新商品やキャンペーンに対する反応を定量化

②ECサイトのレビュー分析による商品改善
 良いレビューが多い商品の傾向を分析して、売上アップの戦略に応用

③映画配信サービスの作品評価やレコメンド最適化
 どの作品が「感動」「笑い」「退屈」などと評価されているかを解析

これらの事例からも分かるように、感情分析は顧客理解を深め、より的確な意思決定やサービス向上につなげる有効な手段です。
今後ますます多くの分野で、感情データの活用が競争力の鍵となっていくでしょう。

よくある質問(FAQ)

  Power Automate や AI Builder を導入する際、「どんな業務に向いているのか」「他社はどう活用しているのか」といった具体的な疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

ここでは、 AI Builder 活用事例を踏まえた実践的な質問を中心に、導入前後でよく寄せられる質問とその回答をまとめました。導入前の不安解消や、活用のヒントとしてぜひご活用ください。


1. AI Builder を使った業務改善の成功事例は?

 たとえば、請求書の自動読み取りによる経理業務の効率化、アンケートの感情分析による顧客満足度の可視化、紙の伝票からのデータ抽出による在庫管理の自動化などがあります。


2. AI Builder の活用が特に効果を発揮する業種は?

 製造業(品質管理・在庫管理)、小売業(顧客レビュー分析)、金融業(書類処理の自動化)、自治体(住民アンケート分析)など、紙やテキストデータを多く扱う業種で特に効果を発揮します。


3. AI Builder の導入効果を定量的に測るには?

 処理時間の短縮率、手作業の削減件数、エラー率の低下、顧客満足度スコアの変化など、業務プロセスごとのKPIを設定することで、導入効果を可視化できます。


4. AI Builder の活用を社内に広げるには?

 小さな業務から始めて成功事例を社内で共有することが効果的です。「まずは請求書処理から」など、成果が見えやすい業務から導入し、段階的に展開するのが成功の鍵です。


5. AI Builder の活用における注意点は?

 モデルの精度は入力データの質に依存します。事前にデータの整備や分類ルールの明確化を行うことで、より高精度なAI活用が可能になります。


AI 活用サポートサービスの紹介

Power Automate と AI Builder を組み合わせることで、これまで人手で行っていた「画像や書類からの情報収集・整理」といった作業を、自動化・高速化・省力化することが可能になります。
人手不足や業務効率化に直面している企業にとって、AI の導入はもはや“検討すべき選択肢”ではなく、“導入すべき戦略”になりつつあります。

弊社では、Power Automate + AI Builder の導入を支援するAI活用サポートサービスをご提供しています。
要件定義からモデル設計、実装・運用までをトータルでサポートし、貴社の業務に即した形でAIによる業務革新をお手伝いします。
AI の業務活用をより効果的に進めるために、ぜひ一度、具体的な課題やご希望をご相談ください。