RPA とは? – 5つの 活用事例 から見る その 効果 –

RPAで効率化を図る人たちのイメージ

RPA とは、 「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の 略で、PC上 の作業を ソフトウェアロボットで 自動化することを 指します。作成した フローに 基づき、 業務を 自動的に 行うことが できます。

本記事では 5つの 活用事例 から、 RPAを活用することで、人が手作業をした場合と自動化した場合の作業時間がどう変わるかを検証し、RPAを用いた際の効果を紹介していきます。

目次

RPA が注目される背景

導入時に考えるべきポイント

RPA を使ってどんなことができるか

日報を自動で報告・送信

システムログ収集

システム自動入力

請求書まとめ

データ集計

まとめ

RPA が注目される背景

少子高齢化による生産労働人口の低下により、人手不足の企業も多いと思います。加えて、「業務プロセスの効率化」「デジタル・トランスフォーメーションの加速」「業務の自動化の推進」といった経営課題への対応も必要であることから、人手不足の中で生産効率を上げる施策の重要性が高まっています。

また、総務省の令和3年版情報通信白書1にて、
“「ICTに係る労働力向上」とは、企業がICT(AIやRPA等)を導入することにより、同等の生産物・付加価値を生み出すのに必要な労働力を減少させることで、企業の労働生産性を向上させることが想定される。”
と、ICTと労働生産性向上の結びつきについて考察されています。

こうした背景もあり、人員をかけずに労働生産性を高めるための手段として、ICT技術の活用が注目されています。

導入時に考えるべきポイント

使い方の習得

RPAの作成において、プログラミングの知識はあまり必要がありません。しかしながら、どのようなツールにおいても最初に使い方を学ぶ必要があります。そのため、導入するツールについてを学ぶ機会や時間があるかどうかを事前に確認しましょう。

業務の洗い出し

自動化したい業務、時間がかかっている業務、属人化してしまっている業務を事前に洗い出します。この時、自動化に適した業務と適さない業務があるため、前述した事例を参考にしながら評価を行い、実際に自動化する業務を洗い出してみましょう。

人の判断が必要な業務や、仕様変更が多い業務には適していない場合が多いです。

業務改善の検討

業務の洗い出しが完了した後は、自動化するしないに関わらず、一度業務改善を行えるかどうかを検討しましょう。
業務改善の4原則「ECRS」という考え方を意識してみましょう。「ECRS」とは、Eliminate(排除)・Combine(結合)・Rearrange(再整理)・Simplify(簡素化)の頭文字をとった言葉です。

洗い出しで出てきた業務のうち、必要ないものはEliminate(排除)し、一緒にできるものはCombine(結合)。作業順序をRearrenge(再整理)した後、業務全体をSimplify(簡素化)してみましょう。

費用対効果の分析

導入にあたっての検討と分析も行いましょう。

①自動化を検討している業務の業務時間はどの程度かかっているか
②自動化を検討している業務の実施する回数
③業務を自動化するのにかかる時間

時間をコストへ変換して見積もった際、次のような関係が成り立てば、費用対効果が高いと言えます。

① × ② で算定する時間(コスト) > ③の時間(コスト)

総合的には、上記のコスト関係とともに、RPAの導入・運用コストも含め比較した後、費用対効果があるかを判断する必要があります。

運用体制の検討

継続利用するものとなるため、運用コストを中心に、誰がメンテナンスしていくのか、何かあった場合に誰が対応するのかといった運用体制も検討する必要があります。

これらのポイントを元に、業務効率を改善していきましょう。

RPA を 使ってどんなことができるか

RPAは、毎日(もしくは毎月)繰り返し行う作業や、PCで行う単純な作業が得意です。
特に、データ処理・加工や定型業務においてその効果を最大限に発揮できます。

次から、4つの事例の概要と効果を紹介します。

日報を自動で報告・送信

日報作成とメール送信を行う際に手動で作業を行った場合と、自動化を行った場合で、作業時間がどれだけ違うのかを実際に比較検証しました。

日報作成と日報をZIP圧縮しメール送信する様子を動画にしています。実際に動いている所をイメージしたい時にご覧ください。

手動で行っていた場合4分ほどかかっていた作業を、自動化することで20秒で完了することができます。

経過月数稼働日数 日次進捗手動報告日次進捗自動報告
1ヶ月目201時間20分6分
3ヶ月目604時間20分
6ヶ月目1208時間40分
9ヶ月目18012時間1時間
12 ヶ月目24016時間1時間20分

 上の表からわかる通り、1か月に20日間、日報の作成とメール送信を手動で作業する場合、1年間では16時間かかります。単純計算で15時間程度、日報作成に使っていた時間を短縮することができます。

RPA による効果

 日報作成の工程は大きく分けて3つ。

①日報ファイルを作成する
②日報入力
③日報を提出する

 この工程のうち、自動化した部分は、①・③の工程です。
 ②の手入力部分以外一切時間がかかっていないように思えます。
 これは、RPAが得意とする部分だけ自動化し、苦手な部分だけ手動で行っているからです。

 ①と②、どちらも定型的な工程が多く(ファイル名は「名前日報_年月日」であったり、メール文はほぼ同じである)、自動化することに向いているといえます。

 逆に言えば、自動化する際は複雑な部分だけ手動にするなどの工夫を入れることによって、より効率的に自動化を行うことができるということです。

システムログ収集

 システムログを収集する時はどうでしょうか。こちらもまた手動と自動での比較検証を行っています。

システムログを取得し、フォルダー分けする様子を動画にしています。実際に動いている所をイメージしたい時にご覧ください。

 ログ収集するシステムや手順が増えた場合に、どのような時間となるかも算出しています。
※1分未満の時間は切り捨て

経過月数収集ログ数 手動収集自動収集
1ヶ月目201時間12分
3ヶ月目603時間36分
6ヶ月目1206時間1時間12分
9ヶ月目1809時間1時間48分
12 ヶ月目24012時間2時間24分

 1つのログにつき手動では3分かかっていたところ、自動化することで40秒に短縮できています。

 こちらの記事の技術は、使用している「伝えルー子」以外にも、ルーターやファイアウォール等の機器のシステムログ・サーバーのログ等にも利用できます。

RPA による効果

 今回の事例は、データアクセスのためのログインだけを手動で行い、Webアプリケーションの起動やデータのダウンロード・ダウンロードしたファイルのフォルダー分けを自動で行うようになっています。

①Webアプリケーションの起動
②ログイン
③データアクセス・ダウンロード
④フォルダーに振り分け

 以上の工程の中でも、ファイルの移動・振り分けの作業は人の手で行うと意外に時間がかかってしまう工程の一つですが、RPAを用いるとすぐに終わる工程です。積極的に自動化していくとよいかもしれません。

 入力する文章を暗号化できるツールであるならば、ログインも自動化できるのでフローを起動するワンクリックの動作ですべてを行うことができるでしょう。

システム自動入力

 次に、Excelの内容をシステムに自動入力するフローを紹介します。

 データ入力作業を人の手で行うと、行がずれてしまったり、入力する情報が間違っていたりしてしまうことが多い仕事の一つでしょう。単純作業なので集中力が切れてしまうなどの問題も起こりがちです。

Excelから情報を取り出し、システムへ自動入力する様子を動画にしています。実際に動いている所をイメージしたい時にご覧ください。

RPA による効果

 今回のフローは前述のものに比べ、とても単純なものになっています。

①元となるデータを読み取るため、Excelファイルを開く
②Excel内のデータを各テキストボックスに書き入れる
③ ①と②をデータの数だけ繰り返す

 顧客情報のリストをあらかじめ作成しておくことで、隙間時間を使い登録作業を簡単に行うことができますね。定型作業の効率化を図ることは基本とも言えます。

 ポイントは、Excelファイルの中身(構成)とツールに書き入れるものが固定されているかどうか。
時と場合によって入れる場所が違う、形式が変化するなどの対応が必要になるならば、自動化するより人の手で行ってしまった方が早いこともあります。今回の事例のようにすべての行動をマニュアル化でき、その仕様が変化しないという点が自動化するのに向いている作業であった部分となります。

応用として、様々な管理システムに新しい情報を入力する業務であったり、顧客情報更新などにも使えます。

請求書作成

自社のサービスや商品を販売するためには欠かせない請求書も、自動化して効率化を図ることができます。

請求書の作成を自動で行った場合・手動で行った場合の例を見てみましょう。

請求書を自動作成する様子を動画にしています。実際に動いている所をイメージしたい時にご覧ください。

この事例では、手動で7分30秒、自動化して1分45秒と約6分もの短縮につながっています。

経過月数作成件数 手動作成自動作成
1ヶ月目502時間5分29分
3ヶ月目1506時間15分1時間27分
6ヶ月目30012時間30分2時間55分
9ヶ月目45018時間45分4時間22分
12 ヶ月目60025時間5時間50分

上記の表を見てもわかる通り、人の手で150件分作成するよりも早く、600件分の請求書を作成することができています。この分の空いた時間でまた他の業務を行うことができると考えると、生産性の大幅な向上が見込めるのがわかります。

RPA による効果

 この事例での効果は、ほかの事例に比べて大幅に短縮された時間にあります。
 単純に考えても4倍程度の作業効率アップが見込めるほか、作成時間も3時間ほどとかかるコストが低い部分が素晴らしい点です。1年間で19時間という大きな時間を持てることは、他の重要な作業に取り組める時間がそれだけ増えるということでもあります。

 また、この事例は請求書だけでなく、見積書や納品書、領収書などのフォーマットと書き入れる内容が決まっている書類すべてに適用可能であり、さらに効率化を図ることができると考えられます。

データ集計

データ集計を行う際に手動で作業を行った場合と、自動化した場合で作業時間がどれだけ違うのかを比較検証しました。
こちらの例では、勤怠管理を自動化しています。

データを自動で集計する様子を動画にしています。実際に動いている所をイメージしたい時にご覧ください。

手動で行っていた場合3分ほどかかっていた作業を、自動化することで1分15秒で完了することができます。

経過月数集計回数手動集計自動集計
1ヶ月目120回2時間50分
3ヶ月目360回6時間2時間30分
6ヶ月目720回12時間5時間
9ヶ月目1080回18時間7時間30分
12ヶ月目1440回24時間10時間

 1か月に1回120件の手動集計をする場合、1年間では24時間かかります。
 データ自動集計の自動化をするためにかかった時間は12時間でした。作成時間を差し引いても、12時間の効率化が達成できると言えます。

RPA による効果

 日報作成の工程は大きく分けて3つ。

①集計管理用ファイルを開く
②勤怠管理表から勤務時間を読み込む
③集計管理表に書き込む

④①~③を社員数分繰り返す

 繰り返し処理により長く感じますが、1件にかかる秒数は25秒と考えると、素晴らしい効率になっていると言えます。

 業務内容的にも、入力ミスが多く発生するものでもあるため、自動化による恩恵が多く、データ入力業務から解放され、空いた時間は他の重要業務に活用することができますね。

まとめ

いかがでしたか?今回の記事では、5つの事例からRPAの活用方法と効果をみていきました。
導入を検討している場合は、本記事に記載した内容を参考にしてみてください。

上手く活用することで、業務効率化に繋がることは勿論、携わるメンバの業務改善への意識と視座を高め、仕事で成果を出せるビジネスマンの育成に繋げることができます。

是非あなたもRPAを導入してみてはいかがでしょうか。

また、当社では業務自動化の支援も行っています。お問合せフォームからお気軽にご相談ください。

引用元

  1. 総務省. “令和3年版 情報通信白書”, p.230. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/index.html ↩︎