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 IT導入補助金 の活用を検討していますか?本記事では、業務効率化・売上アップを実現するITツールの導入を検討し、そのために補助金の活用を考えている中小企業・小規模事業者等様のために、 IT導入補助金 について解説します。通常枠・ デジタル化基盤導入枠の違いや、補助事業のスケジュール、補助金の採択結果・採択率といった点を重点に解説します。

 補助金の活用を検討して情報収集を開始した方は、 IT導入補助金 、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金が見つかったのではないでしょうか。これら、補助事業の特徴は下記の通りになっています。ITツール導入を検討している場合は、まずは IT導入補助金 を候補として考えるのが良いでしょう。

補助金補助事業の特徴
IT導入補助金中小企業・小規模事業者等がITツール導入により業務効率化・売上アップを実現するための経費を補助します。
小規模事業者持続化補助金小規模事業者が行う販路拡大等(生産性向上)のための取組を補助します。
ものづくり補助金中小企業が革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を補助します。
事業再構築補助金ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を補助します。

IT導入補助金 とは

 IT導入補助金 は、中小企業・小規模事業者等のみなさまがITツール導入で活用できます。2023年度のIT導入補助金( IT導入補助金2023 )は、事業目的毎に補助金枠と事業の目的は以下の通りです。
※デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)は記載しておりません。

補助金枠事業の目的
通常枠(A類型・B類型) 中小企業 ・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。
 自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただくことを目的としています。
セキュリティ対策推進枠 中小企業・小規模事業者等のみなさまがサイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約や価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや生産性向上を阻害するリスクを低減していただく事を目的としています。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) 中小企業・小規模事業者等のみなさまが導入する会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助することで、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することを目的としています。
IT導入補助金2023 事業概要(https://www.it-hojo.jp/overview)より

 また補助の対象は下記のようになっています。
※デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)については記載を省略しております。

通常枠(A類型・B類型)

 
通常枠
種類A類型B類型
補助額5万~150万円未満150万~450万円以下
補助率1/2以内
プロセス数※11以上4以上
ITツール要件(目的)類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。
賃上げ目標加点必須
補助対象ソフトウェア費・クラウド利用料(2年分)・導入関連費等

※1:「プロセス」とは、業務工程や業務種別のことです。

セキュリティ対策推進枠

種類セキュリティ対策推進枠
補助額5万円~100万円
補助率1/2以内
機能要件独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス
補助対象サービス利用料(最大2年分)
 

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

種類デジタル化基盤導入類型
補助額ITツール
(下限なし)~350万円
内、~50万円以下部分内、50万円超~350万円部分
機能要件会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上
補助率3/4以内2/3以内
対象ソフトウェア会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト
賃上げ目標なし
補助対象ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費等

ハードウェア購入費PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器:補助率1/2以内、補助上限額10万円
レジ・券売機等:補助率1/2以内、補助上限額20万円
 

IT導入補助金2023 IT導入補助金について(https://www.it-hojo.jp/first-one)より

 以降、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)の詳細については説明しておりませんので、セキュリティ対策推進枠をご検討している方はご注意ください。

IT導入支援事業者 と IT導入補助金 の対象となるITツール

IT導入補助金 ITツールイメージ

 中小企業・小規模事業者等のみなさま(以下、補助事業者と示します)がIT導入補助金を利用する上では、 IT導入支援事業者の存在がかかせません。IT導入支援事業者は、補助金対象となる、ITツールの情報提供や、補助事業者が行う申請・報告に関する情報の徴収、補助事業者へ実際のITツールの提案・導入の実施や各種申請等の手続・導入後のサポートからアフターフォローまで行います。なお、ITベンダー・サービス事業者が登録申請を行い、事務局に採択されることで、IT導入支援事業者になることができます。

 また世の中のすべてのITツールが、IT導入補助金の対象となるわけではありません。IT導入支援事業者が登録申請し、事務局に登録されたITツールだけがIT導入補助金の対象となります。
 そのため、中小企業・小規模事業者等のみなさまが、補助事業者としてIT導入補助金を利用する場合には、まずはIT導入補助金の事業を理解した後、自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定することになります。

通常枠とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) の違い

IT導入補助金 デジタルイメージ

 ここからは、2022年度の IT導入補助金で新設された、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)について詳細を解説します。事業目的は下記になります。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援するとともに、インボイス制度への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援する。

 つまりデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、生産性向上・インボイス制度対応・企業間取引のデジタル化を検討していたり進めようとしている中小企業・小規模事業者等を強く支援するための制度といえます。また「 IT導入補助金 とは」の「事業の目的」で示した通り、「会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助」することからも、企業間取引のデジタル化を強く推進する制度であることが分かります。

 いくつか通常枠とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で違いがあります。
●補助率
●申請要件 生産性向上に係る情報・賃上げ目標
●対象経費
●審査項目
●事業実施効果報告

 さらに違いを詳しく見てみます。

●補助率

 補助率の違いは下記になります。デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は補助率を引き上げて優先的に支援される点が分かります。

通常枠デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
1/2以内ハードウェア購入費が1/2以内
ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費等が2/3以内~3/4以内

●申請要件 生産性向上に係る情報・賃上げ目標

通常枠は、 生産性向上の数値目標や賃上げ目標を作成し、業務効率化・売上アップを計画的に実現することを補助する事業であることがわかります。デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)については、本項目については必須では求められていません。

通常枠デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
生産性向上の数値目標作成が必要
B類型は賃上げ目標作成が必要(A類型は加点項目)
生産性向上に係る情報・賃上げ目標とも不要(賃上げ目標の計画策定は審査の加点項目)

●対象経費

 対象経費に違いがあり、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、クラウド利用料に関してハードウェア購入費が対象となる点で、優先的に支援されます。

通常枠デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
ソフトウェア購入費
クラウド利用費(クラウド利用料2年分
導入関連費
ソフトウェア購入費
クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分
ハードウェア購入費
導入関連費

●審査項目

 IT導入補助金は、申請後に、学識有識者を含む関係分野の専門家で構成された外部審査委員会で、審査が行われます。審査項目にも違いがあります。通常枠では期待する導入効果や生産性向上と事業成長への取組みが審査のポイントであり、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)はインボイス対応のための生産性向上にもつながるツールが導入されているかが審査項目となります。

通常枠デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
・自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか
・自社の状況や課題分析及び将来計画に対し、改善すべきプロセスが、導入する「ITツール」の機能により期待される導入効果とマッチしているか
・内部プロセスの高度化、効率化及びデータ連携による社内横断的なデータ共有・分析等を取り入れ、継続的な生産性向上と事業の成長に取り組んでいるか 等
・自社がインボイスにも対応するための、生産性向上にもつながる効果的なツールが導入されているか
・自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか

●事業実施効果報告
 事業実施効果報告における、事業実施効果報告内容や事業実施効果報告対象期間と事業実施効果報告期間にも違いがあります。通常枠は、申請要件である生産性向上に係る情報・賃上げ目標について、報告対象期間ごとに報告を行っていきます。デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、インボイス制度の対応状況と導入製品の活用状況を報告します。

通常枠デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
生産性向上に係る数値目標に関する情報(売上、原価、従業員数及び就業時間等)及び給与支給総額・事業場内最低賃金等
※賃上げ要件の効果報告においては、効果報告値と併せて証憑として賃金台帳等事実の確認できる書類の提出を求める。
インボイス制度への対応状況及びをITツールを継続的に活用していることを証する書類
※賃上げによる加点を受けている場合は、3年間の事業計画期間後に賃上げの実施状況等について報告

事業実施効果報告対象期間

通常枠デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
1年度目 2024 年 4 月 1 日~2025 年 3 月 31 日
2年度目 2025 年4月1日~2026 年 3 月 31 日
3年度目 2026 年4月1日~2027 年 3 月 31 日
IT ツール導入後~

事業実施効果報告期間

通常枠デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
1年度目 2025年4月~2025 年 7 月
2年度目 2026 年4月~2026 年 7 月
3年度目 2027 年4月~2027 年 7 月
2024 年 14月

スケジュール

 IT導入補助金 2023年の予定です。

通常枠(A類型・B類型)

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

IT導入補助金 2022 の 採択率(採択結果)

 IT導入補助金 2022年度の、通常枠(A類型・B類型)とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の採択結果・採択率です。

通常枠(A類型・B類型)

 通常枠(A類型・B類型) の 最新採択率(採択結果)は、申請数(A類型・B類型の合計)が24,095件に対して、交付決定数(A類型・B類型の合計)が13,959件で、57.9%でした。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) の 最新採択率(採択結果)は、申請数が38,799件に対して、交付決定数が32,191件で、83.0%でした。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。 IT導入補助金 は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入することを検討している中小企業・小規模事業者等様は、業務効率化・売上アップの実現のために、制度を有効活用できる可能性があります。また、インボイス対応や企業間取引のデジタル化を検討している場合は、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)によって、優先的な支援を受けられる可能性があります。 IT導入補助金 は、本記事に記載していないその他条件もあり、申請手続きも必要となるため、活用するためには制度への理解とIT導入支援事業者による支援が必要です。業務効率化・売上アップ、インボイス対応や企業間取引のデジタル化といった点を目指している、中小企業・小規模事業者等様は一度、IT導入支援事業者に相談してみてはいかがでしょうか?

 

弊社はIT導入補助金2023における
IT導入支援事業者として採択されております

IT導入補助金 を活用したITツール導入に関する
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補助対象ITツール

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